河畔の家
- Creative Fields HOUSE
河畔の家
5人家族のための住居である。敷地は琴似発寒川の河畔に広がる公園に面する不整形な形状で、駅近郊の住宅街の端に位置する。南西の前面道路は敷地の中程で遊歩道に切り替わり、対岸の住宅地を結ぶ人道橋に繋がっている。通勤通学や河畔を散歩する人、公園で過ごす多世代の人の往来が盛んである。家族の生活領域を河畔の環境に拡張させると共に、河畔の風景の規範になるような住居を目指した。
柱の表出・外部を纏う
北海道では高気密高断熱化された壁で室内を囲い込み内外を分離することによって積雪寒冷な環境に対応してきた。謂わば「壁の建築」が住居の原型となっている。一方、柱を表出させた木造建築にみられる縁側や近世ヨーロッパのロッジアは、日差しや雨を遮る環境的な意味に加えて、建物に人々を招き入れ居場所を与え、庭園や広場に正面性を与えるといった意味を併せ持ち、建築に豊かな外部を纏わせてきた。北海道における「柱の建築」の可能性を提示したい。
受容する形・自律する佇まい
敷地の前面に建物ヴォリュームを寄せて配置し、住宅街からの流れを汲む開かれたポーチと遊歩道からの流れを汲む板塀に囲われた小さな庭を組み合わせ、二つの流れを受容しつつ調停することを意図している。同時に2.7mピッチで表出した柱が往来する人々に律動を与え、公園のファサードを形成する。柱の陰影が時々刻々と移ろい、「壁の建築」による単調な街並みから自律した佇まいを獲得する。
対比的な1,2階の平面構成
1階は大きさの異なる3つの部屋を設け、子供の成長に合わせて使い分ける計画で各室に特徴的な自然光が導かれる。2階は不整形なワンルームとし、河畔の環境と様々な距離感で接することができる。テラスと室内を隔てる開口部にステンレスブレースをダブル構面で効かせ内外の連続性を確保し、階段上り際の鋼棒柱で支持する桁梁に高強度集成材を用いることで7m×6mのスパンを実現している。